
肩凝り Shoulder Stiffness
肩凝りは首から肩にかけての筋肉群のこり、はり、こわばり、重圧感、痛みの総称のことで、国民のおよそ三人に一人が肩凝りを訴えているといわれています。 肩凝りの主な原因は不良姿勢、長時間のパソコン作業やスマホ操作、なで肩、肩掛けカバン、運動不足、精神的ストレス、冷房や冬場の冷えによる血行の悪化などが挙げられますが、中には病気によって肩凝りを発症している場合もあります。
始めに肩凝りの原因となりうる病気について簡単に説明します。
緊張性頭痛
頭痛の中で最も多くみられるのが緊張性頭痛で、パソコン作業やデスクワーク等でうつむき姿勢を長時間続けることで背骨や筋肉(側頭筋・後頚筋・僧帽筋など)に持続的に負担が掛かり、血流の低下や神経障害を招いて後頭部を中心に締め付けられるような頭痛を発症します。 午後や夕方の一日の終わりにかけて発症しやすく、重い肩凝りや眼精疲労を伴う場合があります。
眼精疲労
パソコンやスマートフォン等の液晶画面に集中する作業を長時間続けた後に現れる目の疲れ、痛み、かすみ、充血などの症状のことを眼疲労と呼びますが、通常は休息をとれば回復します。
しかし休息をとっても症状が改善しなかったり、目の症状以外に頭痛や肩凝り、吐き気を伴う場合、眼精疲労と呼ばれます。
眼精疲労の原因はさまざまで、遠視、近視、乱視などの屈折異常や老眼、白内障、緑内障、高血圧、貧血、自律神経失調症でも発症する事があります。
四十肩/五十肩(肩関節周囲炎)
原因は不明ですが、肩の関節を覆う関節包に炎症と組織の癒着が起きる事で肩関節の強い痛みと運動障害を生じる疾患です。中年(40~60代)の方に多くみられ、安静時や夜間の肩の強い痛みが数ヶ月続いた後(急性期)、痛みが和らいだら関節が硬直して腕を挙げたり回す動作が困難になり(拘縮期)、徐々に痛みやこわばりが回復する時期(回復期)を経て回復していきます。治療期間が一年以上に及ぶ場合もあります。
線維筋痛症
原因が不明の慢性疾患で、全身の関節や筋肉の疼痛に加え、倦怠感や疲労感、頭痛や抑うつ、動悸や目眩、ドライアイやドライマウス、便通異常などの症状も発症する事もあり、気候の変化や睡眠不足、激しい運動、精神的なストレス等で症状が悪化します。国内に200万人以上の患者がいるとされ、女性に多く(男女比=1:5)、平均の発症年齢は50歳前後とされています。線維筋痛症分類基準を用いて診断が下されます。
高血圧
高血圧は生活習慣(塩分摂取過多、肥満、運動不足、ストレス)や加齢、遺伝的な要因で血管が収縮し血圧が135/85mmHg以上になった状態のことを言います。血流が悪くなることで冷えや肩凝り、頭痛を発症したり、それを放置すると動脈硬化や脳梗塞/脳出血、心筋梗塞等の重篤な疾患のリスクが高まります。
虚血性心疾患(狭心症/心筋梗塞)
虚血性心疾患とは心臓に必要な酸素や栄養を運ぶ血管が狭くなったり詰まることで心臓に障害が起こる病気の総称で狭心症と心筋梗塞を指します。 狭心症は心臓の表面の冠動脈(心臓自体に血液を供給する血管)が狭くなることで階段を上がったり、重い物を持ったり、少し速足で歩いたりした際に胸やみぞおち、背中の痛みや圧迫感、胸やけ等を発症します。心臓の感覚を伝える神経は腕や肩の感覚を伝える神経と同じ経路で走行している為、上半身(特に左側)の肩こりや腕、顎や歯の痛みを発症する場合もあります(関連痛)。
心筋梗塞は狭心症が悪化し、細くなった血管に血栓が詰まって心臓の細胞が壊死してしまう病気で、心不全や不整脈、突然死を引き起こす恐れがあります。虚血性心疾患は高血圧や糖尿病、脂質異常症などの持病や睡眠不足や運動不足、喫煙歴のある方のリスクが高い疾患です。
更年期障害
更年期(40歳後半から50歳前半)の女性が閉経によって卵巣の働きが低下して卵巣ホルモン(エストロゲン)の分泌が少なくなると、その分泌を促す卵胞刺激ホルモンが脳(下垂体)から過剰に分泌され、自律神経が乱れやすくなります。その結果、交感神経が優位になり、ほてり、のぼせ、発汗、動悸、肩凝り、高血圧や精神不安定など症状や骨粗しょう症が進行したり、血中コレステロールも上昇します。
うつ病
近年増加傾向にある「うつ病」は日本人の100人に6~7人は一生のうちに一度は経験すると言われています。多くは何らかのストレス(離婚、解雇、倒産など)が引き金になって気分の憂鬱、気分が重い、気分が沈む、悲しい、不安、イライラする、集中力がない、好きな事もやる気がしない、自信がない、死にたい等の精神的な症状に加え、体がだるい、疲れやすい、食欲や性欲がない、頭痛、肩凝り、動悸、便秘、目眩、口が渇くなどの身体的な症状を発症します。
肩凝りの一般的な治療は・・・
緊張性頭痛の治療では姿勢や生活習慣(運動や睡眠)の改善、筋弛緩薬や抗不安薬、抗うつ薬が行われます。
眼精疲労の治療では目の疾患が原因であれば眼鏡やコンタクトレンズを用いた視力矯正、パソコン作業時の適切な目の休息や姿勢、点眼薬等が行われます。
肩関節周囲炎の治療では、痛みが強い急性期は三角巾やアームスリング等で固定しながらの安静、消炎鎮痛薬、注射療法が行われ、痛みが軽減したら拘縮予防の為の温熱療法や運動療法を行います。近年では麻酔下でのマニピュレーション(手技療法)も選択肢になりつつあります。
線維筋痛症の治療では抗けいれん薬や抗うつ薬などの薬物療法や針治療、運動療法、リハビリ等が行われます。
高血圧治療の治療では生活習慣の改善(禁煙、運動、睡眠、食事)や降圧剤が行われます。
狭心症や心筋梗塞の治療では血管を広げる硝酸剤や血管拡張薬、血栓を出来にくくする抗血小板薬などの薬物療法が行われますが、場合によってはカテーテルを使って血管を広げる手術や脚や腕の血管で迂回路を作るバイパス手術が行われる場合もあります。
更年期障害の治療では生活習慣(運動、食事、睡眠)の改善が基本ですが、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬を使った治療が行われます。
うつ病の治療には休養に加え、抗うつ剤や抗精神病薬を使った薬物療法が基本ですが、認知行動療法や電気・磁気刺激を使った治療も行われる場合もあります。
カイロプラクティックでは・・・
カイロプラクティックでは頭を支える背骨と首/肩の筋肉に着目します。
私たちの頭の重さは成人で約5㌔程あり、その頭を支えているのが背骨と首/肩の筋肉群です。
不良姿勢や長時間のパソコン作業、スポーツの反復練習などで背骨に歪みが生じると、背骨の配列が崩れ、背骨や首/肩の筋肉群に負担が掛かります。
カイロプラクティックでは背骨の歪みを整えることで背骨や筋肉の負担を取り除き症状の根本的な改善を図ります。